見応えがありました
はっきり言って、今回の作品は大変地味でした。観劇の最中にも喜劇の方が良いとの
声も聞けてきました。が、役柄にはピッタリ合ったキャスティングでしたので、見応えがありました。特に、市川房江さんがモデルと言われてる方の言動には、双葉は何とかだなあと思いつつ観せていただきました。それにしても昔の女性はたくましい。現在の我々は?
瀬音 瀬野久美子
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時代の重みを知らされた
今回は、松山で観させていただきました。
明治末期といえど、そんなに遠い昔の事ではないだろうと思っていましたが、自分の知り得たいことも自由には選べない時代だったのだと、改めて時代の重みを知らされました。一幕目は、少し長く感じましたが、事件か起こってからは、話がどんどん面白くなりました。「杉坂はつえ」が、とてもハツラツとしていて、気持ちよかったです。
今治にも、早くより良い会場ができますように・・・・・。
碧 真部
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消化不足
この芝居を観る四、五日前、平塚らいてうの記録映画を見た事もあって、期待して当日を迎えた。企画でも何年も前から上がっていたし、あらすじも把握していたので期待も大きかった新しい時代の新しい女たち女性解放の先駆者たちをドラマ化した劇のストーリー性は良かったが、規律の厳しい寮生活でのひそひそ話はホールの悪さも重なり聞き取りにくく、盛り上がりも今一つ解らない部分があって、消化不良の感ありでした。女性が夢と希望で胸を膨らませた熱い時代は確かにあったことには違いない!
CHUCHU 小野
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興味深かった
理想と現実の違いにもがき苦しみながら、時代を生き抜いていこうとする若者(女子師範学校の生徒たち)を描いて良質の集団劇仕上げた発想(演出に)感動させられた。
計算されつくした豪華な舞台に入れかわり立ち代わり登場人物が物語をすすめていく様子が、次にはどんなことが・・・・と興味深かった。
巻雲 渡辺宏
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パワーを感じた
折りしも映画「平塚らいてうの生涯」を見た直後である。杉坂初江のモデル市川房江氏も映っていた。映画で観た明治の女性たちが、生き生きと舞台に踊り出てきた感がする。女学校では、徹底した良妻賢母教育が行われ、校風も「温順貞淑」へ。抑圧されればされるほど、のびやかに高く高く飛べる日を夢みるものだと思う。
女性が強くなったといわれて久しいが、なかなか、まだまだ男性社会なんだと痛感する事しきり。
厳しい校則のもと、寄宿舎に閉じ込められた女学生たちの青春パワーを感じた。
ダイアナT 杉岡圭子
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《劇評》
この作品は、以前から何度も例会候補に挙がっていた作品でした。永井愛さん作の明治末期の女子師範学校を舞台にした作品でした。
昭和生まれの私にとって、明治・大正時代の女子学生のイメージといえば「ハイカラさん」です。子供の頃好きだった漫画の一つでしたので多少その時代を生きた女性の姿や暮し振りに興味があり、今回の例会のタイトルを見たときから非常に楽しみにしていました。
渋い茶色の階段と手すり。二階の奥にはどうやら図書室があるらしい。一階の向かって右側の小さな扉の中には賄い婦の住まいがあり、舞台の左手は生徒達が集まる談話室。これだけの間取りをあの舞台の上に収めてしまうとはお見事。舞台がとても重厚でした。
高らかな笑い声と共に女学生たちが登場。袴姿がとても清清しく、凛とした姿勢が観ていて気持ちよかったですね。お辞儀をする背中も美しく、胸をピンと張って歩く。見習わねばと思いました。
夜な夜な行われた生徒達のヒソヒソ話での会合のシーンでは、早口の上に、地方から集まってきた女生徒達の設定で耳慣れないお国言葉ばかりで、何を話しているのか解かりにくい事もありました。が、優等生の光島延ぶを慕う杉坂初枝役の松熊明子さんの声は、はつらつとしていて歯切れも良く、会場にもよく通る声だったと思います。
一幕目が、長く淡々と続き、このお芝居の本題にはいつ入るのか待ち遠しく思いました。二幕目は、一転、仲間の校則違反事件をきっかけに、生徒達は個性をグングン発揮しはじめ、思わず「がんばれ!」と応援したくなりました。男性と二人だけで話をすることが何故そんなにもいけないことなのか。自分の興味のある事を知ろうとすることが禁じられる、今では考えられないことです。大勢いたストライキに同盟したメンバーが一人、また一人と減っていき、ついには二人だけになってしまう。これからまだまだがんばっていくのかと思いきや、意外にもあっさり、光島さんはプロポーズされた事を期に心変わりをしてしまう。心境の変化のあまりにも早い切り替わりに少し拍子抜けしてしまいました。
しかし、ラスト、二人のセリフのやりとりは、しんみりとさせられました。たった一人でも自分の気持ちを貫こうと決意した杉坂初江が涙をこらえ窓の外に見えているであろう飛行機の姿を追う。十代の少女が心を強く固め人生を自分の力で切り開こうとする様は、羨ましくも思えました。
真部
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