熱演には敬意を表するが、主題が大き過ぎて演出が未消化。終戦前後の事情が判っているものにとっては、なお演出が甘い。
知らないものにとっては、説明不足で理解し難いのではないか。以下の発声の問題と合わせて、高校の演劇同好会の域だ(約70%)。 出演者の発声に問題あり。殆んど何を言っているのか聞き取れない。特に子供の高い声が通らない。カン高い声は本当に殆んど聞き取れない。 劇場の後部席で聞きとれるかどうか劇団関係者で確認されたし。致命的な欠陥だ。何を言っているか判らなければこの芝居の意味がなくなる 。声を遠くまで通す発声法を工夫されたし。 あがた 渡辺 貴 |
この作品はずーっと以前に三国連太郎さんや、左幸子さん、宮城まり子さん、桜木謙一さん、丘さとみさんらによって三部作シリーズの映画化がなされている。
また、アニメでも公開され当時は結構評判の作品であった。 この原作がミュージカルとして上演される。正直言って暗い話がミュージカルになるのには抵抗があった。楽しくなければミュージカルじゃないという自説は曲げたくない。 まして、この悲惨な物語を歌あり踊りありのミュージカルに出来るのかという疑問である。 脚本と演出で作者の木島恭さんは、かなりご苦労されたのだろうと思う。人が生きていくためには何が必要で何が一番大切なものかを語らせたあと、 ラストはお盆の灯篭流しでしめくくったあたり、ともすれば暗くなる部分をつとめて明るくさせていた。 少年役の二人?が一生けんめい明るくしようと務めていた努力をたたえたいなと思った。 巻き雲 渡辺 宏 |
今日の「はだしのゲン」お芝居の帰り道で(玄関の出入口)、殆んどの人が、今日はよかったね、涙が出てしようがなかったね、
本当にいいお芝居だったねと言う声が聞こえました。 原爆は戦争というイメージとは少し違っていて、本当に恐いものです。心に残る場面もいっぱいありましたけれど、 幽霊のように歩いていた場面をじーっと見ていると原爆のこわさ、恐ろしさで胸が痛くなる程、ジーンとなり、命の大切さを思いながら見ていました。 とても感動しました。 花時間 門岡 |
久しぶりに感動しました。 無記名 |
限られたスペース、質素でシンプルな舞台装置。これで、原爆による地獄絵のような悲惨さや、そこから立ち上がる姿をどんなふうに表現するのだろうか、
期待しつつ鑑賞した。 なるほど、ミュージカルという形式がよかったですね。セリフのやり取りだけでは、あの悲しみや、希望を表現するのはむつかしい。歌の力で感動が盛り上がりました。 今治では、終戦の年の四月と五月、二度の爆撃。疎開児童として島から見た八月の焼夷弾爆撃や原爆の閃光。戦中戦後を体験した私達の世代は、 特別な思いで鑑賞したのではないでしょうか。 悲惨の中から立ち上がる少年ゲンと母親のけなげで希望に向かう姿、何度か目頭が潤みました。ゲンの母親役、田中雅子さんの「あなたの思い出」、 ゲン役の田中美幸さんと母とのデュエットで歌う「夢を忘れずに」など感動を盛り上げる力がありました。 もう一つ印象に残ったのは、案内役の前田昌明さんのナレーション。客観的で冷静。これが真実を訴える力になっていました。 幅広くいろいろなジャンルの演劇をみせてもらっておりますが、今回のような分野も又いい「出し物」でした。次回はどんな「出し物」か期待しています。 皆さんの力でいまばり市民劇場が安定して存続し発展するように祈ります。 9月のポーランドでの公演がニューヨークやソウルに続いて大成功を収められるよう祈ります。 碧 新居田 |
今回は仕事の都合で松山での観劇となった。 81才の義母は今治で観劇。1945年8月、今治大空襲で、肉親を失った。その当時を想い出して泣いていた。戦争を経験してはいないが、義母から聞くその悲劇に、戦争はおろかな事、けっして、二度と起こしてはいけないと、深く深く心にきざむ。 ゲンをはじめ、少年たちを演じる女優さんたち。言動は言うに及ばず、体型までも、まったくの少年になりきっている。被爆後皮膚を布のようにぶらさげてさまよう人たちの影が、頭に焼きついた。まるで幽霊のように。 松山ではラストに灯篭流しを、浴衣姿の市民劇場会員がエキストラ出演していた。 イラクと同様、アメリカは日本の被爆後の惨劇を隠して報道していたという。国内はもちろん海外へもこの舞台を、この事実を、「原爆」を、伝え続けて欲しいと想う。 平和ニッポンにも、今、軍靴の音が近づいている。 ダイアナ1 杉岡 圭子 |
★今治西高校演劇部の皆さん 戦争、広島を扱った作品であったけれども、暗くなくしかし楽しいだけで終わりではなく、しっかりと心に響くものが届いた劇でした。 役者の皆さんの声量、歌の上手さ、そして何よりも体の柔軟さ。感動しました。舞台の仕掛けも驚かされるものが多く、楽しく興味深く見ることができました。 今回は演劇部の部員とともに観劇させていただいたのですが、私自身にとって、そして生徒たちにとっても、大きな刺激となり参考となった、経験となりました。 本当にありがとうございました。 演劇部先生 渡邊 愛 原爆によって尊い命が失われる恐ろしさを目の当たりにしたように感じました。そして、二度と悲劇を繰り返さないために、 この「はだしのゲン」のような形で原爆のありのままの姿を伝えていくべきだと思いました。また、鑑賞後、ミュージカルを作り上げた方々のお話を直接お聞きすることができ、 質問にも丁寧に答えてくださって、とても貴重な経験をすることができました。私も高校で演劇部に所属していますが、今日のミュージカルのように心に響く舞台をつくりたいです。 ありがとうございました。 演劇部 田頭 慶子 私は「はだしのゲン」というお話があることは知っていたけど、読んだことはありませんでした。でも今日のお芝居を見て読んでみたいと思いました。 私は戦争を経験したことがないから、戦争ときいても、もうして欲しくないというぐらいしか思っていませんでした。このお芝居を見て、 戦争の本当の恐さを知ったような気がします。一瞬にして親や兄弟が死んでしまって一人ぼっちになってしまった子供がいたりしてすごく恐いと思いました。 とても感動して何度も泣きました。もう戦争がないことを願います。 演劇部 越智 郁美 演技の一つ一つの動作が大きくて遠くのほうの席に座っていたのですが、何をしているのかよくわかりました。大道具の設備とかがすごくて、 原爆がおちたときは、本当に自分もその場にいる気がして恐くなりました。「元」さんが本当に少年に見えて、女性の方が演じているとは感じがたかったです。 ちょっとした動きが不自然でなく、演じているという感じをあまりうけなかったところから、今までの練習の成果を感じることができ、すばらしい公演だったと思いました。 演劇部 佐野 遥 ゲンが本当に無邪気な少年で、とても成人女性が演じているように思えなくて、すごく驚きました。原爆が投下されてから、ゲンが母親を支えて、 たくましく生きていく様子に心を打たれました。私達の、戦争が終わった時代に生まれて、少しの苦しみで、すぐに諦めてしまう心の弱さを思いしりました。 戦争の悲しみと、平和の喜びを感じずにはいられませんでした。 私も演劇部で芝居をするときに、今日のお芝居のように見てくれる人達に伝えたい気持ちが伝わるようなお芝居をしたいです。 演劇部 岸本 千夏 |
★子供たちの感想 平和の大切さとかを、この劇ですごくわかりました。!! とても心のこもった劇で、感動しました! また。見たいです。 藤原 奏 12歳 とても楽しかった。 藤原 新 10歳 ちょっとこわかった。おどりはおもしろかった。とおくてよくきこえなかった。 武田 美弥 10歳 原爆が落ちた時の被害はもっとやさしくしていると安心していたのに、急にライトが光り、すさまじい音が鳴り響いたのと、 ひふがたれ下がり歩いている人、「いたい」「あつい」という声で、もう涙が出てきました。「はだしの元」の作者の人が「元」だったということを始めて知り、 元はどんなに苦しくても、あきらめず、「生きて、生きて、生きぬいちゃる」という言葉に涙・・・・。もう一度、戦争、原爆のおそろしさ、平和の大切さを勉強しました。 今、私達の学校の6年生は、平和について勉強しています。そのためにもなり、良かったです。本当にありがとうございました。 村上 悠美 12歳 ところどころに笑えるところを交えつつ、命の大切さと、戦争の悲しさを感じました。10才の妹は「恐かった」と言っていましたが、 ぼくはむしろそこがゲンの周りにおこる出来事をよく表していると思い、とても感激しました。ゲンの「青麦のように、ふまれてもふまれても、 まっすぐ、強く育つ」生き方・・・僕たちもゲンのように生きなければならないと思います。 武田 尚也 14歳 |
《劇評》 事前学習会で、原爆投下後の長崎の惨状を聞いた後だったので、多少、身を堅くして開演を待ちました。 緩やかに傾斜した舞台、わずかな道具の出し入れと実写スライド、そして効果音と照明。それらが見事に合わさって、場面が変わる毎に、ゲンの幸が逃げてゆくのを見るのが悲しかった。 一瞬の光の下で、すべてを無くしてしまったゲン。 モノクロの舞台で原爆投下後の行列を見ながら涙が止まらなかった。 今も世界の何処かで戦争が起こり、ゲンたちの様な人たちがいる事を忘れてはならないと強く考えさせられた芝居だった。 (J) |
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