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感想文集=会員の皆さんの感想文です

「高き彼物」の感想文
過去は変えられる
 長時間の舞台だったが退屈せずに楽しめた。
 脇役がしっかりしていたからだろうか。娘役の藤本喜久子さんも、顔がはっきり見えなかったが、とても華があった。
 「高き彼物」というのが何なのかは僕にはわからないけれど、僕にもわかっていることがある。それは過去は変えられるということ。今の自分を変えれば過去も変わる。
 どうでもいいけど高校生役の俳優は何才なのだろう。少し気になる。
  天鳥船 渡部豊彦
★高校生・藤井秀一を演じたのは、浅野雅博さん 31才です。
自然で期待どおり
 久し振りのお芝居でした。高橋長英さんは好きな俳優さんなので楽しみにしていましたが、やはり自然で期待どおりでした。
 演題の「高き彼物」の意味をずっと考えています。後を引くいいお芝居でした。
 後でのずっとおしゃべりの声が耳ざわりでした。
  オオニシ 片上千恵
心にずっと残りました
 芝居を見るのは、今回が初めてでした。 最初は内容が解かりにくく、退屈でしたが、だんだん舞台に引き込まれ、終った後に心にずっと残りました。
 上演中、私語があり迷惑した。
  オオニシ 片上佳恵
登場人物みなに愛があふれておりました
  高橋長英さんはじめ、皆さんの演技は完璧に思えました。お芝居のリズム・間というものや、心情を演出する風鈴の音など、細かい部分にまで神経の行き届いた、完成作でしょう。いろいろな賞も取って当然の作品だと思いました。
 今回のお芝居では「高き彼物」とはいったいなにものなのか?見極めようと舞台をにらみつけて、観させていただきました。
 最初マキノノゾミさんは主人公に説明させています。「高き彼物」とは崇高なる高みに有るもの。完璧なる理想の人格を「神」というなら、「高き彼物」は「神」でしょう。「高みを目指せ。一生が勉強だ。自己啓発を怠るな。」という意味だな、と思いました。
 ところが、お芝居のラスト、じいちゃんが「高き彼物・・」と言うエンディングに、おや?隠れたメッセージが有るのかな。と考えました。ひょっとして、「高き彼物」とは「じいちゃん」のことではないのか。人は誰も人生の中で無意識に「高き彼物」を目指しているんだ。経験を積み重ね、失敗を繰り返し、人を見つめ、自分を見つめ、その人の高みを目指しているんだ。特殊な知識を詰め込むだけでは「高き彼物」には近づけないぞ。まさに、多くの年齢と共にすばらしい経験を積み重ねられた人生の先輩がたは、「高き彼物」に他ならないんだ。そんなふうに感じました。
 過去のあやまちを告白ざんげする場面では島崎藤村の「破戒」を思いだしました。それを読んだころの昔の自分も思い出しました。
 皆さんに感謝いたします。
 ところで、今回の例会は会員さんのマナーの悪さが目立ちました。 携帯電話の電源の切り方知らないんですか! 会場の悪さで、ただでさえセリフが聞き取りにくいのに、おしゃべりするとは何事! 遅れて来てうろちょろするのはやめてください! マナー違反については、まわりの指摘と注意が重要です。堂々と注意してあげましょう。
  エメラルド 阿部
芸術の秋  
 開幕前に、郷ひろみが歌う懐かしい曲『林檎殺人事件』が場内に流れた。あとから思えば、この芝居はこの曲がヒットした昭和五十三年の夏の出来事だということだ。以後、セリフの中に高倉健さんや薬師丸ひろ子さんが主演した映画『野性の証明』のことや、渥美二郎の歌った『夢追い酒』のことなどがセリフに入れられていて思わずニコッとなったのは私だけだろうか。その時代を表現するための一つの工夫がそこに見られたのだと思う。
 出演された方々の役どころがはっきりしていて、無駄が一つもないというのも成功の要因でしょう。
 前半は、事故を起こした青年秀一を中心に物語が展開。後半は、主人公である正義(高橋長英さん扮)がぐいぐい物語を引っ張っていく。次はどうなるんだろうかと観る側の期待を裏切らない演出も見事でした。 また、ともすれば暗くなりそうなこの芝居の流れをおじいちゃん役の森塚敏さんやお巡りさん役の酒井高陽さんらが、明るい雰囲気にさせていった脚本の効果も大である。
 数々の賞に輝いたこの作品を芸術の秋にふさわしい十月半ばに観られたことを有難いなと思いつつ家路に向った。
  巻雲 渡辺 宏 
懐かしい「昭和」
 懐かしい「昭和」の部屋に和まされ、お芝居が始まりました。心に傷を負った少年の荒れた姿が、苦しくなるほど伝わってきました。
 その内容は違えども、誰もが抱える悩みを今は乗り越えなければならない。十代の彼には難しすぎる問題でしたが、高橋長英さん演じる猪原先生との生活で次第に自分を取り戻していく 。
 高橋さんの演技は、観る側を安心させてくれます。物語の中で問題が起こる度に高橋さんお姿を探してしまいました。 すっかり「お父さん」として見せてくれました。一つの屋根の下で暮らしながらも父親には中々 告白できない事があったり、 かっての恩師を尊敬以上の気持ちで慕っていたり、それぞれの思いが猪原家に溢れていました。そんな家族の全てを解っていたのは、 やはり「おじいちゃん」ではなかったでしょうか!!いい味を出していましたね。登場の場面から大注目でしたが、最後まで笑わせてもらいました。
 お芝居の話しとは少し離れますが、今回も携帯電話の音がお芝居の途中で聞こえました。必ず電源を切るようにしましょう。
 みなさん、普段の生活を忘れて、ゆっくりお芝居を楽しみませんか?
  碧 まなべ
 《劇評》
  じっくり見る事ができ 筋よし テンポよし 異なった劇団のメンバーがあつまった プロデュース作品であったのに、役者さん同士の息ぴったりで、感動あり ハラハラあり 笑いあり 現実味があり正義感あふれるとてもすばらしい お芝居でした。
 バイクで出掛けた旅先の事故で友人を失った受験生の藤井秀一を中心に、元教師の猪原正義、正義に思いを寄せる元同僚の中学教師、 智子に熱を上げる警官、正義の教え子で智子の婚約者片山、それぞれに愛すべき人物たちが描かれていました。
 そんな中 祖父役の森塚敏さんは、 青年座座長の面目躍如ともいえる絶妙の間で客席に笑いをもたらしてくれました。
 その当時を思わせる懐かしい道具の数々、夕立のすさまじさ、 どこからともなく聞こえてくる風鈴の音色 天気や時間が、証明により裏庭の変化で表現されていて、きめ細かなところまで行き届いていました。
 題名の「高き彼物」(かのもの)は、吉野秀雄の短歌で、「屑煙草集め喫へれど志す高き彼物忘らふべしや」からきている。 消したタバコを灰皿から拾ってまた吸う、そんな貧しい暮らしをしていても「理想や夢」は忘れてはならない、今の時代とは、 ずれがありますが常にどんな状況にあっても理想や夢を持ち続けようという……見た後誰もが忘れられない言葉になったことでしょう。
  土U 大澤恵子 


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