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感想文集=会員の皆さんの感想文です

「長江」の感想文
 六人全員が主役!
 芝居が進むにつれて見る者をグイグイと引きつけていくパワーというか力を感じさせられた
六人の出演者がそれぞれの持ち場を懸命にこなし飽きさせない。すごいことだと思う。
 前半は女先生を中心に、そして後半は老船長をメインに物語は進んでいくのだけれど、六人の出演者全員が主役のような感じがした。
これはとても珍しいことだと思う。
 TVカメラマンが登場して、老人二人がオーバーな仕草をするくだりは、この劇の息抜きか、ホッとさせる清涼剤のような効果があり好感が持てた。 さりげなく人生(特に私のような高年者の生き方)をセリフや動作で表現してくれたことに有難さを感じた。
 まさにNHK連続テレビ小説「わかば」の中で、南田洋子さんがよく言う『人生、生きてるだけで丸もうけ』の心境だった。
 舞台装置のシンプルさがあの当時の中国をうまく表現していたようで、まさにシンプルイズベストだったし、中国模様のガラスが舞台と一緒に真っ赤になる時の美しさは格別だった。
 また今回もいいお芝居を見せていただき心温まる思いで家路に着くことが出来ました。
 本当にいいものを有難うございました。
   巻雲 渡辺 宏
 もう一度観たい
 時を忘れて引き込まれました。六名の出演者は皆、芸達者と思いましたが、特に方先生役の山田珠真子さんに魅せられました
 私たちも今、考え直さなければならない要素が沢山折り込まれた芝居でラストシーンでは思わず涙ぐんでしまいました。
 チャンスがあればもう一度観たい芝居です。
    えだぼり F
 深い感動をありがとう。
 日中の暖かさに比べやはり晩秋の夜は肌寒く着込んでいたけど冷えました。
 大河の辺りで生活する老若男女の日々がリアルに描かれ、喜びも悲しみも大河に癒され、その懐に抱かれる善男善女、上り下る汽笛の笛、エンジン、小 鳥のさえずり、工夫された衣装の色彩等々、その効果は観客席をも引き込みいつの間にか一体となって舞台に同化していました。
 大輪の花ある役者さんが演じるお芝居も興味深いですが、舞台と一体となってしまうお芝居の良さも、たっぷりとその妙味を教えて貰いました。??だけど晩秋の冷えをも温めてくれる深い感動を残してくれました。ありがとう。
     紅バラ
 大変よかった。
 中国現代劇とはいえ、「長江」とだけ聞いて自分の生活とのギャップがあって興味が持てずに観ていたのだが、夫婦の会話もどこの国でも変わらない。
 意思表示のはっきりしている中国的に演技されていると思っていたが、これもロビー交流会でファン先生役の山田珠真子さんが、ミーリンとのやりとりは、日本の嫁姑関係を頭に描きながら演じられていて、特に中国人を意識したそうではなかったとの事。
 ロビー交流会には、ガオ船長の小高三良さんも登場。足腰が曲がりかけてのガオ船長。
 そのお年に近い方だろうと思いきや、実物はなかなかお若くていらっしゃる。
 さすがプロ。演技だったのだ。ガオ船長のお話の中には、今の自分の生き様についてふと考えさせられるものがあった。
 たった六人の出演者で、しかも2時間20分の舞台を長く感じられずどの出演者もそれぞれの役を十分に演じきっていた。
 ただ、ハッピーエンドだったら良かったのに
    ダイアナ 杉岡圭子
《劇評》
 「長江」という題名から、雄大なイメージを持っていたが、現代の中国のはなしである。
 どこにでもいそうな平凡な市民の物語。説教好きで頑固な方先生、雄弁な老船長、エリートの夫と積極的で気の強い妻の若夫婦、とキャラクターがはっきりしてわかりやすかった。
 前半は、アパートの一戸に縁もゆかりもない二世帯が同居するといった設定がわかりにくく、話の運びがもたついた感があったが、老船長登場あたりから、話が盛り上がってくる。
 この老船長、ユーモアがあり、世知にたけていて、寛容の大事さを説き、方先生と若夫婦の仲を徐々に友好的にしていく。この過程が、私たちを劇に引き込んでいった。
 原題は「同船過渡」と言い、「乗合い船で袖摺りあわすめぐり合わせは百年目」という言葉によるそうだが、日本の諺にある「袖ふり合うも多少の縁」と同じような意味だそうだ。人と人とが許しあい、心が通じ合うことの大切さが感じられる内容であった。
 今の中国の抱える問題、都市部の住宅事情や、高齢者の生活不安、米玲がお金もうけの商売にのめりこんでいくといった風潮などが垣間見ることもできた。
 俳優の演技はそれぞれ存在感があり良かった。特に方先生役の山田珠真子、老船長役の小高三良は、はまり役とも思え、すばらしかった。
 ハッピーエンドかと思われた劇の最後、あの終り方は、皆さんはどう思われたか?悲劇的だが、決して希望のない結末ではないのでは・・・・。
 方先生の幸せそうな表情が今も心に焼き付いている。
        ハピネス 三木
 

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