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感想文集=会員の皆さんの感想文です

「怒りの葡萄」の感想文
 怒りの葡萄によせて

 シンプルながら 重厚な舞台装置でした。映画のような場面転換は無理ですが 車の方向転換や移動、流れるような河を連想させる大きな水槽(?)パンジョを中心とした音による場面構成等々の演出には驚きました。
 現代でも、移民、移住、難民の人達の苦しみ、難渋は続いておりますが、今に通じる重い内容でした。
 「芝居は、役者だけでは、出来ない」トム役の宮本充さんは舞台の外でも身体ごと表現していました。
 あの重い鉄枠の舞台の一枠ずつを二人の役者と何度も――も運んでいました。あの華奢な身体で。
 彼はいつもやっているそうです。体力づくりとウォーミングアップになるんだそうです。
 みなさん、搬入搬出を役者さんも参加している劇団は他にもあります。
 ぜひ一緒になって舞台づくり芝居づくりに参加してみましょう。意外に楽しく充実感を味わえますよ。

  碧 新居田 フユミ
お疲れさまでした。
 
 舞台装置の技法や工夫がいたる所で紹介され私たち見る者を楽しませてくれた。
 そのサービス精神が嬉しいし、心を打つ。ジョン・スタインベック原作のこの作品は昔、1940年に西部劇の巨匠ジョンフオード監督によって映画化されているが主役の青年を演じていたのは若き日のヘンリィ・フォンダであった。
 昔、映画は見たが、記憶は薄れていた。ともすれば開拓時代の暗い物語を約3時間もの間、観客によそ見する間も与えないで見せあげたことは素晴らしい。また舞台を一段高くして、死んだおじいちゃんを埋葬したり、川のせせらぎを表現したり、何よりも驚いたのは、本当の水を使って水浴したり出演者が水びたしになったりしたことだろう、演出上の並々ならぬ工夫に感心した。
 この演出は舞台版「オペラ座の怪人」で地下道を舟で渡るファントムの横からローソクがせり上がってくる場面にも通じるような気がした。
 シンプルさの中に演出上の工夫がいっぱいつまった素晴らしい作品だった。
 劇団の皆さん本当にありがとう、お疲れさまでした。

  巻雲 渡辺 宏
 怒りの葡萄をみて

 1930年代のアメリカはオクラホマが物語の舞台。
 遠い昔のことがと思いきや年齢早見表を見ると昭和5年〜10年頃だろうか、私が生まれる十数年前の事件である。
 民主主義の国、アメリカでこのような悲惨な出来事があったのかと信じがたい思いである。
 人間は天災にあえば無力なことは今も昔も変わらない、その上資本家に追われた農民たちは希望の地カルフォルニアを目指した。
 その中に主人公のジョード家がいた。中古のいつとまるかもしれないトラックに家財道具を積んで2000マイル、約3200キロ(時刻表によると岩手楽水沢〜東京〜博多で1640キロ。だから往復の距離。)必死の思い出あえぎ喘ぎ山脈を越え、砂漠を横を切ってカルフオルニアへやっと辿り着く。
 この夢みた地は、土地を追われた25万人の浮浪農民各地よりきていて、農民の仕事は安い賃金でたちの悪い手配屋に仕切られていた。
 大勢の求職者が詰め掛けているので、仕事にありつけるのも困難な仕事である。ジョード家の娘は出産まじかである。この夫は今のままであれば生活に希望がもてないので隣町に仕事を見つけてくるといって出て行くが、再び妻のもとには帰ってこない。娘は失意の中で出産したが、死産であった。唯一の家族の希望が失われていく様は悲しみのふちにおいやるようであった。
 最後の場面が強烈な印象となって頭の中に刻まれた。今にも飢餓のために死にそうな老人をみ、自分たちでさえ食べるのがままならないのにジェード家の母親は失意の娘に老人に乳をやってほしいと訴える。人の命を救えることに無常の喜びを見出したのだろうか。娘は今わの際の老人に懸命に乳をふくませようとする、あたかも元気に生まれた自分の子供にするように、この光景は神々しい姿となって拍手が鳴り止まなかった。     

  ねむの花 0
1930年代のオクラホマに、そして、農民に生まれなくてよかった。      

 高校生
大いなる愛に拍手!拍手

 舞台は1930年代アメリカ オクラホマ。土地を追われ、新天地カリフォルニアを目指すジョード一家。
 豊かさを求めても、求めれば求めるほど 貧しく惨めになるくらし。
 搾取され、しいたげられ。命までも奪われる。正義はどこにも無いのか。
 しかし、人は生きつづける。人類は 愚かさを知り、知恵を学び、神に救いを求め、いつかは理想の姿を見つけることができるのだろうか、理想の生物になることができるのだろうか。
 人は変ることができる。そして、その原動力となりうる最高のエネルギーは「怒り」であろう。
 私のわずかな経験においても、「怒り」こそが真に自分を変えられるものだった。
 苦悩の日々の中、キャンプでのダンスパーティーの場面。会場中で、手拍子がおこった。 今治最高!
 ラストシーンは 聖母マリア を連想させる荘厳なエンディング。
 大いなる愛に拍手!拍手!拍手!    

 匿名 男

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