拝啓「エノケン」さま この度、私たちを懐かしい昭和の時代に連れて行ってくださって、ありがとうございました。 久し振りに「エノケン」というお名前を耳にした時、何がよみがえってきたかと申しますとCMでした。私が小学二、三年生の頃だったでしょう「ホホイノホーイともう一杯!ワタナベのジュースの素です、もう一杯!」のメロディと共に浮かんだエノケンさんの顔!しかし、喜劇役者だったというけれど、私には、このCMの他に何も思い出せるものがなかったのです(ごめんなさい)まだ、日本の全家庭にテレビが一台ずつはなかった昭和三十年年代前半のことですから、仕方がないことだったのかもしれませんそこで、今回の上演にあたり、「どんなことをしていた人かなぁ」という気持ちで舞台を見せて戴きました。 先ずは、裾の広いきれいなドレスの前を両手で持ち上げて右に左に揺すりながら、ちらりちらりと「足が命」のレビューの踊り子のダンス、まるで大輪の牡丹の花が咲いたように美しく「まあ、綺麗!」戦後間もなくこれを見た人は、どんなにか元気をもらったことでしょう。さあ、その後は、何がどれだけあったやら、と思うほど次々に縦横無尽の活躍!「あ、弁慶にもなったんだ!」「バイオリン、いつになったら聞かせてくれるの?何度も弾きそうになっては、何かを思い出してしゃべりだすものだから、聞かせてくれないんじゃないかな?それとも、実は弾けないんじゃないかな?」という具合に、観客の気持ちを絶えず引きつけて笑わせるあたり、さすがでしたね。昭和の歌も次々と歌われて、「ナツメロのメドレー」、その時代にタイムスリップさせてくれてくれました。「東京ラプソディ」なんか明るくて好きな歌だから、一緒に歌ってしまいましたよ。 一方、弟子たちが師匠エノケンの素顔を語ってくれたり、舞台裏ではさもありなんという本音を聞かせてくれたりしておもしろかったけれど、「喜劇役者の悲哀」も感じられて、 しんみりとした気持にもなりましたよ。結婚も四度もなさったのですね。 今頃は、「平成の時代に、私のこと舞台でやってるの?ありがとう!」なんて、空から見ているのでしょうか?とにかく、行きもつかせぬおもしろさ、すばらしかったの一言に尽きます。終演後、席を離れて歩き始めた時、思ったことは「もう一度、見たい!」でした。 楽しい舞台を本当にありがとうございました。共演者の皆様にも、よろしくお伝えくださいませ。長々と失礼致しました。 かしこ 「ほととぎす」の「すずめ」より |
とても懐かしくて楽しい2時間がアッという間に過ごせたようでハッピーな夜となりました。感謝、感謝です。 少年時代に見た「エノケンの―」と題された楽しい映画の題名が次々に浮かんで来て、昔の自分にタイムスリップした様な気持ちにさせられました。有難いことです。ピアノとベースによる生演奏で始まった今日のお芝居、トップは名曲「ダイナ」でした。 それから後は出るは出るはエノケンの名曲集オンパレード!本当に楽しかった。エノケンと榎本健一の違いなど、知らなかったことをさりげなく教えてくれたジェームス三木さんの脚本のうまさと演出はさすが。 例えば、新ドンドン節を生演奏しながら、客席から舞台へ行く演出にニッコリしたのは、私だけではないでしょう! サトウ・ハチローさんや菊田一夫さん、更には山本嘉次郎監督の名前が出て来て、オールドファンを喜ばせる演出も嬉しかった。 今日のお芝居は映画の中のエノケンさんより、舞台のエノケンさんに的を絞った演出でしたが、地方に生きる私たちには、映像でしか知らないエノケンさんにも目を向けてほしかった様にも思います。だから、黒澤明監督の「虎の尾を踏む男たち」に山伏姿で出ていたエノケンさんがとても嬉しいのです。時代を表現するために使われた名曲の数々!「東京ラプソディ「グレンミラーの真珠の首飾り」「東京ブギウギ」「リカルドサントスの曲」などオールドファンにはたまらないノスタルジーなものばかり!さりげなく出したのがいい。 それにしても役者さんって何でも出来なくてはならないのですよね。中西さんのトロンボーンはじめトランペットや三味線、バイオリンなどの多芸に驚かされた幸せの夜でした。ありがとうございました。 巻雲 渡辺 宏 |
初めて会員になり「エノケン」を観て、中西さん、団員の方々の多才ぶりにびっくり!楽器・歌・タップ・芝居等…。最高! 日頃の練習の大変さが伺え、感激しました。帰宅後も余韻にひたり、一人感動!夢のような時間でした。 これからも皆に笑い を届けてください。本当にありがとうございました。 ソワニエ Y・K |
「中西和久のエノケン」・・ 「中西和久」と銘打つだけあって、今回の劇は、中西さんあってのエノケンだと思いました。「こら、中西、逃げ隠れしねェでここへ出てこい・・・」この冒頭の台詞で本物のエノケンが中西さんに話しかけるという演出に、観客を一気に世界に引き込む工夫がされていると思いました。また、その仕草や表情がそっくりだから面白い。 それにしても、中西さん始め劇団員の皆さんの芸達者なこと。サービス精神旺盛で、当時のボードビルショーという感じです。いろいろ楽器をこなし、踊り、歌い・・・元々中西さんは、ブラスバンドをしていらしたそうですが、練習には相当の時間をかけるらしいです。厳しい稽古の積み重ねの結果だと思いました。 今回、特に客席と舞台が一つになっていたように感じました。何度も笑い、時にしんみりとし、ショーでは、自然とわき起こる手拍子・・・。 交流会で中西さんがおっしゃっていましたが、今治は反応がいいらしいです。 子どもの頃、全盛期を過ぎたエノケンをTVで観た記憶がありますが、不思議なことにほとんどの歌を覚えていました。それも楽しめた一つの理由かもしれません。実生活では、足の切断、数度の離婚、息子さんの死など華やかな舞台の裏で苦悩する姿にも触れられていましたが、より芸の深さに繋がったのではと思われました。 ソワニエ N |
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