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「夏の庭」の感想文
 「夏の庭」は三人の少年と一人暮らしの老人とのかかわりを通して、生とは死とは何かを改めて見つめ直すテーマだったと思う。核家族化されて老人とふれ合うことの少ない少年たちが、どんどん老人に関心を持っていく様子が興味深く、死についても別れについても涙なしには観られなかった。また、夫婦のいろいろな形態もそうだが、各々の家庭によりつながり方が違うが、愛情のとらえ方がそれぞれ違うのも胸が痛む。
 三人の少年たちが老人を通じてひと夏で大きく成長し、それぞれが抱えている問題にも前向きに取り組むことができ、最後はハッピーエンドであったのが救いだったと思う。
 私も自分の親しかいないけど、もっと大切にしたいと思う。一人ぼっちになればきっと寂しいだろうと思う。いろいろ考えさせられることが多かったです。

   オレンジスイート M子
       

 例会場で配られた「あらすじ」を読んだ時、少年が死に興味を持って「死ぬところを見たい」と思うところ、ほんとうにそんなふうに思うかな?としっくりこなかったのですが、劇が始まると、舞台に出てきた少年は、まるで少年で、すぐに舞台に引き込まれていきました。
 少年たちとおじいさんはだんだん打ち解けていき、おじいさんとスイカを一緒に食べたり、おじいさんが戦争に行った時の話を聞いたりします。 そして、少年たちはおじいさんとのふれ合いの中で、いろいろなことを思いつき、考え、行動します。少年たちも家庭に問題をかかえていて、おじいさんとの関わりの中で心が育っていくのですが、その様子を、役者さんがとても上手に演じられて素晴らしかったです。
 ロビー交流会で、おじいさん役の笹岡さんが、おじいさんとおばあさんが黙って向き合っているところで、拍手がきてびっくりしたと言っていましたが、あのシーンは言葉がない分、観る者に二人の心の内を想像させる力があり、深い感動がありました。
 とてもいいお芝居でした。

   ほととぎす 窪田順子

 「町はずれのボロ家に暮らすひとりの老人を三人組の少年たちが観察しはじめた」と簡単な解説で今日のお芝居は紹介されていた。若いころに見たアメリカ映画、ロブ・ライナー監督作品の名作「スタンド・バイ・ミー」が頭に浮かんだ。よく似ている。
映画は少年四人、名優リチャード・ドレイファスの出世作となった作品だった。
 淡々と流れるように進んでいく物語をどうなることかと観客が静かに見ている。そして、ラスト直前、舞台いっぱいのコスモスに花畑に観客が大拍手をした。これが今日のお芝居のすべてだと感じた、すばらしいラストでした。
急がず、あわてず、進んでいく物語、この間が演じる者と観る者がうまくかみ合わされると、スゴイ結果を産むのだと思った。老人と少年たちが仲よしになっていく過程も無理がなかったし、いやとても自然に物語が運ばれていてよかったと思う。だから、いつの間にか三人がおじいさんの家族の一員となっていても、ちっとも不思議ではないし、ハッピーな結末を願っていたと思う。
 おじいさんの死という現実は少々ショックだったけれど、最初に書いたラストの舞台いっぱいのコスモスの花が、この物語のすべてを表していたように思えた。
 二月というのに「夏の庭」そして、劇中みんながおいしそうに食べている西瓜の本物をうらやましかったのは私だけではあるまい。だから、寒い二月なのに、心はポカポカと温かい夜でした。
 ああ、市民劇場っていいもんですねェ― !

     巻雲 渡辺 宏  

 三人の少年と庭のある古い家に住む変わり者のおじいさんとのお話。三人の少年はすべて女性が演じていて、言われないと気づかないほどの、名演技でした。少年が大人に成長するときに経験する、たぶん一生忘れない思い出になるような、おじいさんが教えてくれる教訓と小さな庭での出来事。最後のシーンで、少年たちが植えた花が庭に咲く演出がとてもすてきでした。
観劇後、出演者さんとのトークセッションでは、四国初上陸とのことで芝居を楽しめる大人たちに見ていただき、普段とは違うシーンでの拍手など出演者ならではの感想を聞けました。

     J 福田つよし 



 ロビー交流会

 おじいさん役の笹岡洋介さん、種屋のおばあさんと古香弥生さんの二役の相沢けい子さん、河辺役の餐場桃子さんを囲んで行われました。
 「子供の前でお芝居するのと市民劇場の大人の観客では何か違いは感じられましたか」の質問には、相沢さんは「やっぱり大人の反応でしたね。子供だとちょっとした仕草に笑うんですけど、大人の方は内容に反応してくださいますね。」笹岡さんは「いろんなお芝居を観ている市民劇場の皆さんなので、別の緊張感がありましたね」とのこと。また笹岡さんは「おじいさんとおばあさんが縁側でゆったりとお茶を飲むシーンで拍手をいただきました。あんなのは初めてでびっくりしました。いまばり市民劇場のみなさんの想像力が頂点に来た時なんじゃないか」と、とても嬉しく思ったそうです。
 さっきまで男の子を演じていたとは見えない河辺役の饗場さんは、ほんとうの子どもの仕草や言葉遣いを観察したこと、長い髪を切っての役作りを話され、笹岡さんから、「今回稽古で一番泣いたのは彼女。河辺の複雑な家庭環境やちょっとエキセントリックな部分、それを自分のものにしておかないと、芝居がうそになると伝わりませんから、ダメだしされても泣きながら書き込んでいって…」との話もありました。
 盛り上がったのは、スイカが本物かどうかという話でした。もちろん本物で、この劇用で調達しているそうです。リアルで本当に美味しそうとの声が口々に上がりました。約四〇名の参加者でしたがそれぞれが楽しめたと思われる和やかな交流会でした。
 (ハピネス 山田由美子)



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