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感想文集=会員の皆さんの感想文です

「風と共に来たる」の感想文
 映画『風と共に去りぬ』が松山市内の映画館で上映されたのは、昭和二十八年の春だったろうか。
 私は学生でした。
 大街道の松山セントラルという劇場で。当時はほとんどの映画は、一週間上映されると次の作品に変わるのが通例でした。然し、『風と共に去りぬ』は、超大作。だから、四週間から五週間という長期間上映されました。映画会社M.G.M.の宣伝では、地球上で、この映画を上映していない日は無い。つまり、地球のどこかでは『風と共に去りぬ』が上映されている大作だということを豪語していました。   
 愛媛県内で上映されたのは、この松山市と新居浜市だけで、今治市内の映画館で見られたのは、かなり後の年でした。
新居浜市の宝劇場の力の入れ方は大変なもので前売り券は一週目と二週目のデザインが違っていて金箔の文字(第一週)、銀箔の文字(第二週)と区別するという入れ込みようだった。私と友人のA君は頼まれて、松山と、新居浜の二つの映画館で上映されたこの映画のチェッカーを依頼されたのでした。チェッカーつまり入場したお客さんの人数などを、チェックして毎日、日報で配給会社に報告をするアルバイトに雇われたのでした。
 そんなわけで、映画『風と共に去りぬ』は特別な意味で生涯忘れられない映画となりました。学生時代の素敵な想い出です。
 さて今日のお芝居はその『風と共に去りぬ』のメイキングの裏話というわけ!
 実はこのお芝居を見るにあたって心配なことがひとつありました。映画を見ている人と見ていない人がどちらも今日のお芝居を理解できるかどうかということでした。でも何とかクリアしたみたいです。
 前半は正直言って退屈でした。だって部屋の中で同じようなことを三人が怒鳴りあっているだけでしたから。
 一体全体この人たちは映画を創る気がどのくらいあったのだろうかということでした。ちらかった紙屑の海が前回の『片づけたい女たち』を変に思い出させました。
 日本の役者が外国人を演ずるにあたって、ちっとも違和感を感じさせない場合とそうでない時があります。外国人になり切っていると感じ取った時のお芝居は本当にすばらしい。今日は前半と後半で別々の感じを受けました。
 ですから、外国の人になり切れなかった時のお芝居は、自然と理解できます。後半のように「いよーっ アメリカ人!」と声をかけたくなるような場面は、すごく楽しく感じました。
 長い長い苦労のあげくこの三人を中心に創り上げた作品が名作として評価され、こんな裏話があったことを知ったのは、○か、×か?知らないでいたら、どうなるのだろうかと迷っているのです。
 でもやっぱりお芝居って本当に楽しくてうれしいものですねと、大きい声で言いたいのです。

 
     巻雲 渡辺 宏

 初めは『風と共に去りぬ』のパロディー的なお芝居かと思っていました。
 あのハリウッド映画の不朽の名作誕生の舞台裏を、史実を忠実に舞台化したとの説明を受け、ドタバタの中に人権問題等、奥の深さを感じさせるお芝居であったと納得しました。
 4人の俳優さんで、2時間の舞台は、体力的にも大変であったろうと思いました。

  カトレア2 黒川ヒロ子

 セリフが早口で聞こえにくく意味の判らないところがありました。
 でも映画の生まれる過程、五日間の服の汚れ具合、秘書の髪が変わっていくなどの様子がとてもリアルでした。
 三人のキャラクターが愉快で本当にこんなだったのだろうかと興味深く観ました。   

  ユープ・ケッチャ 松田澄子

 私にはこの芝居は、ここ2、3回の中で一番良かったです。
 若い時、原作を二回読んだし映画も観たのが体に入っていたから、幕が上がってすぐに芝居に入っていけました。
 芝居を見て、ああそうなのか!映画の製作過程にこんなドラマがあったのかと驚きました。

  ゆうやけこやけ K・S

 原作も読んでないし、映画も例会前の上映会で観ただけです。
 今回入会して初めてのお芝居でした。
 セットも演技もきちんとしているし、よく声は通っているけれど、セリフは早いしセットは変わらないし、物語が頭や心に中々入ってこなくて、すんなり理解できませんでした。ええ?はあー?って感じです。吉本新喜劇のようなお芝居なら、いきなり観ても入っていけるけど、このお芝居はそうはいかなかったです。
 映画なんて準備を整えて取り掛かるものなのに、なんで五日間悪戦苦闘しているのか理解できませんでした。

  ゆうやけこやけ S・T

 幕が上がった時からすでに芝居の世界に入り込み、終始ワクワクしながら観ていました。
 映画は観ていますが、実はあまり好きではありません。この芝居は一つのお話として観ました。
 脚本家は原作を読んでいない、監督は別映画の撮影途中、プロデューサーは独裁的とこの三人が、プライドと意地をかけた闘いを繰り広げながら、すでに撮影が始まっている映画を書きかえるなんていう話、おもしろくないはずがない。
 三人それぞれの思いがあり、主義があり、こだわるシーンがあり、ドタバタの論戦の中にそれらが見えてハッとさせられる。
 すべてが終わったときの三人のやり遂げた感、
 やっと映画ができる―。いっしょに時間を過ごしたすがすがしさがあふれた舞台でした。

  J    M・M 
      
 ★ロビー交流会の感想

 終演後のロビー交流会には約30名の参加がありました。安原義人 さん、後藤敦さん、多田野曜平さんの3人に加え、四国初日ということで今治に来られた翻訳・演出の酒井洋子さんと演出助手の濱野基彦さんが加わり、和やかに行われました。
 セルズニック役の安原さんが、劇中で固まったときの演技の話は楽しく、実際にもあったことだとか、また、缶詰状態で作品を仕上げて行く様子を、シャツの汗じみや汚れで、リアリティさを出す工夫とかおもしろく語ってくれました。脚本家役の多田野さんは、段ボールに倒れ込む場面では怪我をしたこともあるとか…。舞台の大量の紙、ピーナツは次の舞台でまた使うそうです。
 3人の役者さんが互いにやり取りしながらの話は、舞台の延長のようで楽しく、チームワークの良さを感じました。
 2時間もの舞台をずっと出ずっぱりでの演技でお疲れでしょうに、いろいろな質問に答えてくださいました。映画を作る思いが作品に表れているように、役者さんやスタッフの方々の劇を作る思いは十分伝わったと思います。劇を観る前に、映画のDVDを観たので、とてもよくわかって楽しかったとの感想を述べさせていただきました。      

   カトレア2 黒川ヒロ子

バックナンバー 「片づけたい女たち」の感想文


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