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「王女メディア」の感想文
 あの舞台は、平幹二朗でなくては成立しなかったと思う。言ってみれば、夫に裏切られた妻の凄まじい怒りのドラマ。そのへんの平凡な役者では、シラけてしまって舞台にならないはず。
 平幹二朗のあの重厚な演技があってこそ、われわれの胸に強く訴えるドラマとなり得たのだ!

   今日只今一大事  坪内茂楠

 待ちに待った「幹の会」の「王女メディア」観ました。役者さん一人ひとりが際立つストーリー。台詞の凄さ(芝居ではない、そこにある現実のような迫力)もさることながら、平幹二朗氏の朗々としたお声と所作の優雅さといったら、もう素敵でうっとり。  序盤では天の声のように王女メディアの語りが舞台に響きました。正直なところ声の出演が多い舞台かしらと一瞬思ってしまいました … ごめんなさい … 全編に渡るあのよどみなき台詞。 圧巻。    
 漆黒の城の内外で渦巻く情愛。映画でもテレビでもない舞台の醍醐味を感じました。 また、それぞれの役者さんの良さにもグイグイと引き込まれました。 幹二朗さんは、御年82歳とのことですが、28歳くらいの麗しい王女がそこに。さりげない立ち居振る舞いも華麗でしたね。  衣装がさりげなく舞台上で変わっていました。薄絹を何枚もまとっていらっしゃったのでしょうか?自然でしたね。  終盤では王女が城壁づたいに、悲しみに暮れつつ崩れそうになりながら歩む姿は、悲劇ではありますが同じ女性として母性を感じ、胸に迫る迫力でした。
 さて、広島市出身の幹二朗さん。私は同郷ということもあり、いつか市民劇場でお会いできたらと願っていました。願いは叶うものですね。当日は担当サークルという幸運で(幹二朗さん直筆金色サイン入り台本)や(プログラム)や(DVD)の販売をしました。勿論、私も買いました!帰宅後「台本」を通して読んでみて、そういうことだったのかと再確認でき満足でした。市民劇場会員でよかったです。                    
   ねむの木  早苗
 
 「十二夜」「冬物語」「オセロ」「リア王」に続く「王女メディア」。市民劇場には2006年11月以来の公演だった。 お芝居が始まる前からの雰囲気がいつもとは何かがちがう。そう、これが平幹二朗の世界なのだ。 女性の役者が一人も出ない、男性が女性を演じるそれだけで異常なのだが、この劇団はもっと凄い。この雰囲気は、幹リリックの会のもつ独特の凄さだ。 コスチュームが奇抜だった。頭巾のようなものをかぶり女装の見事さは、奇抜で観る者を釘づけにする。女性になり切るという凄さは、今日のお芝居の第一の売りだとつくづく思った。普通はここまで男性が女性には、なり切れないのではないか。
 どうして子供たち二人を人形にしたのか最後まで観てやっと理解した。これも演出の上手さだと思った。
 演劇をする役者さんはセリフつまりことばをとても大切にするのだと聞く。登場したひとりひとりの役者さんが、とてもことばを大切にしていることがよく理解できて、納得の夜となりました。
 いいものを観た夜は、雨だろうと風が吹こうとも気持ちは晴れ晴れで、いいものが見られた満足感でぐっすりでした。

   巻雲  渡辺宏


 

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