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最新例会紹介

第71回例会
  2004年 7月27日(火) 場所:
今治中央住民センター
  開演6:30  開場6:00
  民藝
   『巨匠』
  作=木下順二
  演出=守分寿男
  出演 大滝秀治  

 ★ポーランドのテレビドラマをもとに《芸術家の運命》について書き下ろした木下順二衝撃の戯曲。



あらすじ
 1967年にNHK海外秀作ドラマシリーズの一つとして放映された、ポーランド制作のテレビドラマ『巨匠』を見た木下順二氏が雑誌に連載したエッセイ「芸術家の運命について」がきっかけとなり、20数年後にそのテレビドラマの台本を初めて手に入れた彼が、自身の作品として書き下した。
 舞台はドラマの台本を入手したところから始まる。
 ポーランドの首府ワルシャワの大劇場で、シェイクスピアの『マクベス』を初めて演ずることになった、売り出し中の人気俳優が、本番を前に、若い演出家とダンカン王殺害前のマクベスのモノローグの演技について、楽屋で議論している。稽古の演技が気に入らなかった演出家の前で今一度そのモノローグを常識的な伝統的な朗誦として演じ、演出家の賛同を得るが、本番で出来るかどうか分からないと言い出す。果たしてそれは何故なのか?
 そこから場面は、俳優が明かす20年前の第2次世界大戦終了の前年の、ナチス・ドイツ制圧下のポーランドの小さな出来事の回想に転換する。
 当時俳優志望の若者だった彼が1944年のワルシヤワ峰起(ナチス占領下のボーランドでロンドン亡命政府のもとで地下活動をしていた国内軍が、ワルシャワで市民を巻き込み、武装峰起するものの、複雑な政治的・軍事的状況から孤立し、軍人・市民が大量虐殺された)で捕まり、収容所送りの貨車から脱走する。
 ある老人の紹介で、ナチスから逃れた人々がひっそりと共同生活をしている郊外の廃校にたどり着くが、彼が飛び込んだ部屋には、皆から巨匠と呼ぱれる老俳優と女教師、前町長、ピアニスト、医師の5人がいた。彼が俳優志望と聞いて、その老俳優は自分の俳優人生を語って間かせる。
 40年前のデビューからずっと旅周りの小さな劇場で芝居をしていたが、数年前やっと運が回ってきた。デビユー当時の同門で著名な俳優に偶然出会い、ワルシャワでも指折りのプロデューサーへの紹介状を貫い、翌年の出演を約束をするものの、1939年の大戦勃発で駄目になってしまった。しかし、戦争中ずっと『マクベス』を温めてきたというのだった。
 その話の直後、先の鉄道爆破事件の報復処置として4人の知識人を処刑するため、ゲシュタポが2人の兵士と通訳を連れてやってくる。既に調査した職業のリストと身分証明書をつき合わせ、一人ずつ順に壁に立たせた。老俳優の番が来た時、薄記係と書かれた身分証明書から、彼は知識人から外され、他の4人が選ばれた。老俳優は自分は戦争で劇場が開鎖されたため、2年ほど止むなく薄記係をやったが、本当は俳優であると申し立てた。ゲシュタポはそれを無視しようとするが、彼は『マクベス』の台本を差し出し、なおも俳優であることを主張したため、そらで台詞が言えたら俳優と認めるとした。老俳優は自分が俳優であることを証明するため、文字通り命を賭けて、『マクベス』のモノローグを朗誦するのだった……。

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